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最前線インタービューシリーズ
逗子 ヨロッコビール 吉瀬さん編

神奈川県逗子に小さな小さな醸造所があることを御存じでしょうか?逗子駅から徒歩10分、住宅街の中にyorocco beerはあります。
 一回の仕込みは120Lと極めて少量。ケグ・ボトル共に殆どが逗子周辺のみで消費され、県外で飲める場所はまだ殆どないけれども、そのクオリティは高く、現在多くのビールファンを魅了しています。
県内の麦を使ったり、地元のカフェの一角がタップルームになっていたり・・・This is the “Local Brewery“ お話を伺っているとベルギーの醸造所のことを思い出します。街に根付いた醸造所とそのビール。 それはそのコミュニティの文化の一部でもあるのです。
ヨロッコビールを醸造していらっしゃる吉瀬さんはランビックも含むベルギービールに大変注目されているそうで、その点も踏まえた上で今後のシーンやヨロッコビールのこれからについてお伺いしました。

ヨロッコビール 醸造所HP
タップルームHP(BEACH MUFFIN内)




1)ヨロッコビールを立ち上げるきっかけ
僕は20代の初めから30歳頃まで飲食業に従事していました。ずっと勤めていたお店を辞めることになり、次の職を何にしようと考えたときに、次は一生続けられるような職種に就きたいという気持ちと、 また、ものづくりが好きだったので職人的な道へ進みたいという思いがありました。時を同じくして興味を持ち始めたクラフトビールの世界に入ってみようかと。
最初はどこかのブリュワリーに就職できればと思っていましたが、すぐに働き口は見つからず、他の仕事をしながらビールについての勉強を進めました。 調べれば調べるほど、ビールの世界の奥深さに魅かれ、また海外に目を向けると、個人でブリュワリーを開業する人も多くいることが分かり、 それならば自分の地元で地域に寄り添った醸造所を開業してみようと思ったのが、開業までの経緯になります。



2)醸造家として考える「ベルギービール」
ベルギービールは、まさに「工芸品」なのではないでしょうか。 ランビックのような自然発酵のビールには、まだ発酵というものが神秘的であった時代からの、連綿と受け継がれた人間の知恵や技術が込められており、 さらに独自の野生酵母という地域性、ブレンディングという要素も加わるわけですから、これほど深遠な飲み物はなかなかないのではと思っています。 他のベルギーのビールについても、僕はまだまだ勉強不足ではありますが、そのバラエティの多さや味わいの表現、また醸造所の成り立ちといった点において、ビールというものをアートの域まで高めた存在だと思っています。

カンティオンやブーンといったランビックを初めて飲んだ時は、その繊細な味わい、ドライさ、酸味、そして特有の臭み(後に僕にとって“香しい”ものとなりますが)に、これもビールなのか!と本当に感動しました。 そしてラベルを見ると、一応書かれている賞味期限は20年後…。自分の中での、ビールというものに対する固定概念を覆してくれた存在です。 今でも飲むたびに自由な発想をもたらしてくれます。 それとオルヴァル。こちらもブレタノマイセスという特殊な酵母が含まれていますが、そのブレタノマイセス由来のキャラクターと、ビール全体との調和。優しい中にもファンキーさもあって、本当に奥ゆかしいビール。 飲むたびに発見があるという感じです。 僕もいつかはこんなビールを造ってみたいと思っています。

3)サワーエールとセッションエールについて(酸味と軽さ、クラフトビアシーンの流れについて)
サワーエールは僕も大好きなのですが、これはこの湿度の高い日本では今後どんどん受け入れられてゆく余地があると思っています。 セッションエールについても、 これは良く言われることですが、(欧米人に比べ)お酒のあまり強くない日本人にとってはピッタリの存在です。 ただ、酸味や軽さと一口に言っても、そこには様々な表現方法があると思います。 水っぽいだけ、酸っぱいだけといった薄っぺらな表現とならないようにするには、「繊細さ」が大事なのかと。

僕の最近の考えでは、アルコール度数4%前後から5%未満くらいのものが、一般的な日本人にとって、何杯も楽しんで飲むことのできるビールかなあと思います。 今年の春先に、カナダ人の醸造家、ルークさん( モントリオールにあるBrasserie Dieu du Ciel 前ヘッドブルワー)と一緒にうちの設備でビールを造る機会を得たのですが、 5種類のビールを仕込んだうちの二つは3.8%と4.6%。これくらいの度数だと、杯数と種類を楽しめるということを実感しました。 アメリカの方とかは、度数6~7%のビールをガブガブ飲みますが…、僕はそういったビールだと3杯目くらいからは、正直言って味があまり分からなくなってしまいます。 すぐに酔ってしまいたい時もたまにはありますが、基本的には美味しいビールを飲みながら、会話や食事、そして時間そのものをゆっくり楽しみたい。 そういった面から言っても、度数は軽めで、そしてその中に繊細な味わいの表現があるビールというのが、楽しいんじゃないかなあと思いますね。



ちなみにルークと仕込んだ5種類のビールのスタイルはと言うと、ゴーゼ、セゾン、そしてペールエール/IPAが3種でした。 彼は世界の第一線で活躍する醸造家であるので、もちろん知識や技術、経験もすごいのですが、 それらに裏打ちされた上での表現の自由度というのがまたすごい。 ロジカルかつフリースタイルというか。
僕はどこかの醸造所で修行を積んだという経験が無いので、彼と過ごした約一か月間からは本当に多くのことを学ばせてもらいました。 その一か月は、彼についていくのに必死で、分からないことがあると作業が終わってから本やネットに向かってたくさんの勉強をしました。
ただ、そうした知識や技術的な面もさることながら、ルークのビール造りにかける姿勢というものに一番の影響を受けたかもしれません。 彼は、原料の選定や仕込みといった段階から、発酵中、その後の熟成、そしてグラスに注がれる瞬間まで、すべてのステップでベストを尽くしてゆきます。 ビールにたいしての愛情は惜しみません。
そんなルークの背中を見ていて、ビールには、最終的に造り手の人柄というものが表れるのだなあと思うように至りましたね。 うちの”Sky Walker IPA”というビールは、そんなルークとのセッションから学んだことを生かして出来上った新たなフラッグシップビールです。 レモンのような酸味の効いたドリンカブルなIPA。ルークの尽力と友情に捧げて、スカイウォーカーという名前をつけました。

4)日本におけるクラフトビールのあるべき姿、もしくは理想の姿
ローカルビールという感覚が、大事だと思っています。 今や都心部ではクラフトビールの専門店も増え、たくさんの種類のビールを楽しめますが、どうもレアビールやレア樽といったものが珍重される傾向もあって、それではシーンが空洞化してしまうのではないかと思っています。 クラフトビールやマイクロブリュワリーといった文化は、本来その地域やコミュニティと密接に結びついたものではないでしょうか?
日本の現状では高い酒税や地代、過疎化と言った様々な要件もありますが、やはり、その土地それぞれに美味しいクラフトビールがたくさんあって、ブリュワリーも切磋琢磨し、ローカルたちはそのビールを日常的に楽しむ、 そんな状況が理想的だと思っています。 音楽だって、地方に行けば独自のシーンがあったりするわけでしょう。 ビールにおいても、まず「いつもの一杯」というべきローカルビールがあってほしいのです。 よく、マニアックな方たちは難解で敷居の高い方向へと進みがちな傾向があるようですが、それよりも、シンプルに「Support your Local Brewery」といった空気とオープンな楽しみ方が浸透してほしいですね。 クラフトビールという文化は、飲み手と造り手の双方が育んでこそ、本当に根付くものだと思います。



5)吉瀬さんがビールと一緒に伝えたいこと
「ヨロッコビール」という屋号は、「よろこび」という言葉をもじって名付けました。 ビールというのは、それ自体も喜びになりえますが、楽しい時・嬉しい時に飲むと、 その喜びを何倍にもふくらませてくれるものです。 反対に、落ち込んだ時にも、美味しい一杯のクラフトビールが気分を癒してくれることがあるかもしれません。

そんなビールたちも、もとをたどれば麦やホップと言った農産物から来ています。 農産物を、発酵という自然の作用と、人間の創意工夫をたっぷり込めて造られた愛すべき飲み物。 そんなシンプルな魅力を、一番伝えたいです。