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ビールのガスについて2

ガスの生成方法などについての考察 2

引き続き、ビールのガスについてご紹介したいと思います。
ビールにガスを含ませる方法の一つ、「クロイゼン」についてです。
強制カーボネーションするわけではなく、酵母にガスを発生させてナチュラルカーボネーションを得る方法にも幾つかあります。「クロイゼン」という言葉をお聞きになったことはあるでしょうか? 耳慣れない単語ですが、元々はドイツ語です。今やドイツだけでなく様々な国で行われている手法で、発酵を終えたビールに発酵中の若いビールを加えてカーボネーションを促す方法です。
一番手に入り易いクロイゼンされたビールはハイブリッドビールの代名詞的存在の「アンカー スティームビール」でしょう。アンカー社のHPによる説明では、 ラガー酵母をエール酵母の温度で発酵させるのに浅く広い発酵槽を使用し、クロイゼンにて優しいカーボネーションを得ているとのことです。浅く広い開放型発酵槽なのにカーボネーションがあるのはクロイゼンのお蔭なのです。 他にもドイツのシュレンケルラなどでもクロイゼンしたビールを作っています。
日本ではあまり聞かない用語ですが、昔国産メーカーでもクロイゼンをしていたと聞いたことがあります。ドイツ人のマイスターからビール醸造を指導された経緯があった醸造所だったので、なるほどと納得した次第です。

次はビールにガスを含ませる方法の一つ、「ランビックのグーズの製法」についてです。
ランビックには英語で”unblended”と表現される「ストレートランビック」と若いものと古いものをブレンドした「グーズ」があります。それぞれフルーツを漬け込むこともあります。 ランビックはビールの持っている残糖を樽発酵中にほぼ全て使い切ってしまいます。開放型の容器である樽で発酵を行うので、ガスが外に逃げてしまいストレートランビックには一切カーボネーションがありません。 ストレートランビックにおいて大事な点は「酵母は生きているけれども、残糖がないので再発酵しない」ということです。
これに対してグーズはまだ残糖の残っている若いものを残糖のない古いものに混ぜ、若いものに含まれていた糖分で酵母が発酵を行います。故に瓶詰後にカーボネーションが発生し、グーズは繊細なナチュラルカーボネーションを得るのです。
強制カーボネーションを行うと粗く強いガスが取り込まれますが、ナチュラルカーボネーションの場合は繊細で柔らかな泡になることが多いです。 グーズの繊細な泡はこの独特な方法で生まれていました。グーズのガスは思いの外強いので、抜栓時には十分お気を付け下さい。
故に、カンティヨンのストレートランビック、「カンティヨン グランクリュ ブルオクセラ」はグーズではないので残糖を使い切っており、泡立ちません。


ビールにガスを含ませる方法の一つ、「プライミング」についてです。
プライミングとは瓶詰時に少量の糖分と酵母を入れて、瓶内発酵を促す方法です。多くのベルギービ−ルに取り入れられている手法で、 例えばトラピスト修道院のビールとして有名なウェストマール トリプゥではキャンディーシュガーと酵母を瓶詰時に投入して瓶詰後は21℃という高温の中2~3週間かけて瓶内発酵させて、やっと出荷となります。 新しいものであっても豊かなカーボネーションを持つのはこれが理由です。穏やか且つ繊細な泡立ちはプライミングによって生み出されていました。
注意しなければならないのは、プライミングはカーボネーションの為に行うのであって、アルコール度数を上げる為に行うものでは無いという点です。「少量の糖分」とはそういう意味で捉えるべきと思われます。
プライミングされ、瓶内発酵するものはとても長い期間飲むことが出来ます。日本では法律上賞味期限を付けなければなりませんので、通常2〜3年程度に書かれていますが、実際のところ5年以上の熟成に耐えるビールも多々あります。 フィルターをかけて酵母を除去したものよりも、その酒質は良くなり、長期熟成品独特の風味を持つようになります。かのマイケル・ジャクソンも「シメイ ブルーは最低5年寝かせるべき」と発言したこともあります。

最後は「熟成ビールにおけるガス」についてです。
前回ご紹介した「プライミング」によって瓶内二次発酵が促され、ガスが発生します。故にグラスに注ぐとしっかり泡が立ちます。実はこれには前提条件として「瓶の王冠の密閉性が担保されている」ということが必要です。 近年の王冠はとても精度が高く、かなり密閉性が高くなっていますが、古いものはそうでないことも多く見受けられます。
写真左の王冠は2004年醸造のシメイホワイト330mlのものです。汚れてはいますが、グラスに注いだ時のカーボネーションに弱った印象は全くありませんでした。 対して、写真右の王冠は2003年に醸造されたケルコム醸造所のアデラルデュス330mlのものです。偶然かもしれませんが、王冠はかなり錆びており内側も黒くなっていました。 注ぐとあまり泡立たず、しばらくすると完全に消えてしまいました。錆びは水分と酸素がないと発生しないので、王冠の密閉性が少し悪かったのではないかと推察されます。
小瓶と大瓶でも違いが生まれます。液量に対して飽和量が決まっている為に、同じ密閉状態であれば大瓶の方がカーボネーションは多いと言えます。 しかし、液量が多い分熟成も比較的ゆっくりになりますから、ビールとしてどちらが良いとは一概に言えません。


「熟成ビールにおけるガス」について一つ補足致します。
瓶熟成したビールを注いだ時に泡があまり立たない、若しくは泡持ちが良くないことが多々あります。お手元に何か瓶熟成ビールのある方は是非実験して頂きたいのですが、 グラスの泡が消えても何故か「炭酸ガスの香り」がグラスの中に強く感じられます。この現象は大振りのワイングラスなどに注ぐと顕著です。
この現象はガス自体というより、ホップに因るものだと経験上考えられます。ホップの効用として防腐効果、香り付け、苦み付け以外にもホップから抽出される樹脂による「泡持ちの向上」が挙げられます。 長期熟成していく中でホップ由来の各キャラクターはかなりの確率で減少しますので、「泡持ち」の能力も落ちるのでしょう。ガスは相当量溶け込んでいるにも関わらず、 樹脂成分の減退によってビールの泡持ちが悪いので、泡が消えてからは新しいものとは感じ方が違うと言えそうです。
瓶内二次発酵による優しいガスなので口に含んでもガス圧を感じる程ではありません。 新しいものを念頭に置いて召し上がると注いでからすぐの一口目に違和感を感じた場合は上記のようなことが原因なのかもしれません。 慌てず焦らずゆっくりと付き合ってあげて下さい。その後には素晴らしい熟成の境地が待っているはずです。